ホーム お知らせ 全国介護付きホーム協会からのお知らせ 入居一時金の返還など表示・入居契約のルールの遵守のお願い

2010年12月13日 お知らせ

入居一時金の返還など表示・入居契約のルールの遵守のお願い

 11月12日、消費者委員会において、有料老人ホーム等の表示・入居契約の適正化が議論されています。「消費者基本計画」施策番号58において、「有料老人ホーム等に係る表示の適正化、入居契約の適正化、関係法令の遵守等について、都道府県に対して指導の徹底を要請します」という施策が位置付けられており、厚生労働省は、入居一時金、特に初期償却の規制を強化する方針を示しています。

 有料老人ホームの入居一時金の返還などに関しては、これまでも議論があり、また最近も様々な報道もなされております。消費者委員会の議論でもほんの一部の事業者の問題であると片付けられる状況ではありませんので、業界全体として法令・ガイドラインの遵守を徹底する必要があると考えます。

 特に消費者から苦情が多いのは、入居一時金の返還ルールや90日以内契約解除のルール(いわゆるクーリングオフ制度)のようです。入居一時金の返還を利用契約書に定めるルールどおり行わない(返還できない?)のは論外ですが、それ以外にも以下のような点にご注意ください。

 例えば、消費者委員会事務局から「90日以内の契約解除の場合に入居一時金が全額返還されることになっているが、その申出は1ヶ月以上前にしなければならないと言われた」という苦情があったとお伺いしました。皆様の入居契約書はどのようになっているでしょうか。90日以内契約解除のルールの趣旨が90日間は居室利用やサービスが契約前の想像どおりだったかどうかをお試しいただくことであるとすると、その申出期間は90日間は保証されなければならないと考えられます。

【ご確認いただきたい事項】

(1)契約締結前に重要事項説明書の十分な説明の徹底をお願いします。
 特に、入居一時金の初期償却や償却方法については、算式を示すだけでは一般のお客様には理解しきれない場合があるので、十分な説明を行ってください。

(2)契約締結時に利用契約書の十分な説明を行い、十分ご納得していただいてからご契約していただくよう、お願いいたします。
 特に入居一時金の初期償却や償却方法については、再度ご確認いただいてください。

(3)利用契約書の90日以内契約解除ルールを再確認してください。
 契約締結日から概ね90日以内の契約解除の場合について、既に受け取った入居一時金の全額を利用者に返還することは、すでに利用契約書に盛り込まれていると思います。
 しかし、次の点に関して、再度ご確認をお願いします。

  ・ご逝去による契約終了も対象とすること
   (設置運営指導指針上は「契約解除」となっており明確ではありませんが、
    ご逝去の場合も同様の取扱いをすることが望ましいと考えます。)

  ・入居者からの解約について一定期間前に申し出ることとされている場合であっても、
   90日以内契約解除ルールの契約解除権(申出期間)は
   契約締結日から約90日間は保障すること。
   (なお、契約終了日は申出日から一定期間後とすることは差し支えないと考えます。)

  ・契約解除日までの利用期間に係る利用料について、契約書等に明示すること。

(4)入居一時金や利用料について、どのような費用に充てているのかが分かるようにすること。

 こうした問題を含めて、「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者専用賃貸住宅」の契約のあり方に関して議論を深めるため、社団法人全国有料老人ホーム協会と合同で「サービス付き高齢者住宅における契約に関する研究会」を立ち上げました。民法の専門家を交え、いわゆる「利用権」とは何か、入居一時金の性質をどのように考えるか等の議論を行っております。第1回を11月4日、第2回を12月2日に開催しましたが、中間的な論点整理をはじめ、随時情報提供させていただきます。