社会保障改革国民会議の報告書を受けて、本日(2013年8月6日)、市原代表理事、国政副代表理事から厚生労働省老健局の原局長に対し、要望書「介護予防給付の存続について」を提出いたしました。公益社団法人全国有料老人ホーム協会(有老協)と一緒に訪問し、有老協からも「介護予防給付の制度存続についての要望」を提出されています。
■社会保障改革国民会議報告書の記載
- 介護保険給付と地域支援事業の在り方を見直すべきである。地域支援事業については、地域包括ケアの一翼を担うにふさわしい質を備えた効率的な事業(地域包括推進事業(仮称))として再構築するとともに、要支援者に対する介護予防給付について、市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組等を積極的に活用しながら柔軟かつ効率的にサービスを提供できるよう、受け皿を確保しながら新たな地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていくべきである。
- まず、「範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図る」ことについては、上記2(4)で述べた予防給付の見直しのほか、利用者負担等の見直しが必要である。介護保険制度では利用者負担割合が所得水準に関係なく一律であるが、制度の持続可能性や公平性の視点から、一定以上の所得のある利用者負担は、引き上げるべきである。
■要望書「介護予防給付の存続について」概要
- 現在の地域支援事業は、保険者の意識・実力、保険財政の状況によって、大きな差があり、要介護状態になるおそれのある高齢者に、それを予防するためのサービスを受ける権利を保障するためには、現行の介護予防給付の形式が最善。
- 特定施設への早めの住み替えニーズに対しては、自立、要支援の段階から入居し、できるだけ要介護状態にならないよう、事業所も入居者も介護予防・重度化予防に取り組んでいる。当協議会が実施したアンケートでも、要支援者に対する介護予防の取組みについて、運動機能向上は88.3%、体重測定などの栄養改善は98%以上、認知機能低下予防は70%の特定施設が取り組んでいる。
- 仮に、介護予防特定施設入居者生活介護が廃止されると、経営状況の悪化、介護予防・重度化予防の実行が困難になる、早めの住み替えの選択肢の減少などのおそれがある。
- 地域包括推進支援事業(仮称)が行われたとしても、介護予防事業に参加しにくくなる、住所地特例対象者は保険者の実施する事業に参加できない、自立から要支援、要介護まで一貫したサービス提供の流れが分断される弊害がある。
- ついては、介護予防特定施設入居者生活介護の給付の仕組みは、現行の形での継続をお願いする。
■厚生労働省老健局 原局長のコメント
「介護保険制度全体を守るため、給付対象は絞る必要がある。しかし、要支援者のサービスがゼロになるわけではない。特定施設、有料老人ホームも、地域の社会資源として市町村と連携してほしい。今後、介護保険部会で具体的な議論が始まるので、よく話を聞いて、よりよい仕組みを検討してまいりたい。」
今後も、他の介護保険事業者団体とも連携を図りながら、介護予防給付の見直しの議論に対して、現場の立場から粘り強く働きかけてまいります。