10月8日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会において、介護事業全体の収支差率が8%程度であり、中小企業の売上高比税引前純利益率が2%程度であることから、介護報酬を6%程度引き下げることを求める論点が示されました。また、10月21日に開催された経済財政諮問会議では、「介護報酬(サービス価格)の改定に当たっては、高収支率の背景にある事業コストを厳格にチェックし、・・・価格の妥当性を検証すべき」の意見がありました。
一方、介護事業経営実態調査結果において、特定施設入居者生活介護は、12.2%と高い収支差率を示していることから、本日(10月28日)、当協議会及び公益社団法人全国有料老人ホーム協会より厚生労働省老健局長あてに意見書を提出しました。 |
意見書の概要は、以下のとおりです。
- 財務省において介護事業経営実態調査結果を踏まえた介護報酬の引き下げが提案されているが、前回の介護報酬改定(物件費の下落に伴うマイナス改定)以降、人件費、物件費ともに上昇傾向にあることから、今回の介護報酬改定は、少なくとも基本単位は据え置きとすべきである。
- 介護報酬の7〜8割は人件費に充当されている。仮に介護職員処遇改善加算を引き上げても、基本単位を引き下げれば、各事業者は、介護従事者の処遇を実質的に改善できない。介護従事者のキャリアパスを描くことができる長期展望に立った経営計画が可能となるよう、安定した介護報酬の設定が必要である。
- 居住・入所系の介護事業所には、介護保険収支だけではなく、居住費・食費等が含まれている。特に特定施設入居者生活介護では、介護保険外収入が53.7%を占める。介護保険に関する収入・支出のみを抜き出した分析が必要である。
- 特に居住・入所系の介護事業所にとって、事業継続は入居者に対する最重要契約事項であり、合理的な損益分岐点を設定している。中小企業など一般企業との利益率の比較は、適当ではない。
- 特定施設入居者生活介護の収支には、(1)事業主体が土地を所有している場合にはその費用が含まれていない。また、(2)投資に対する投資回収(累積損失の解消)、その期間に対する利子も支出としては計上されていない。
- 特定協が独自に行った「平成25年度特定施設経営概況等調査」結果では、収支差率は8.7%である(有効回答743事業所)。介護事業経営実態調査では、入居金収入や本部経費の記入誤りも多いのではないか。
詳しくは、以下の資料をご覧ください。