去る11月13日、東京ブロックの会員活動として、日本教育会館一ツ橋ホールにて、「人材確保に関する講演・情報交換会」を開催し、合計32法人50名の方にご参加いただきました。
今年度より、厚生労働省が「高齢者や障害者等に対する介護に関し、国民への啓発を重点的に実施するための日」として「11月11日」を「介護の日」と決めました。これを受けて、その「介護の日」の2日後に、特定施設事業者としても現在の最重要課題である「人材確保・定着・育成」に関する活動を実施いたしました。
第1部では、財団法人介護労働安定センター理事長の野寺康幸様より『介護における人材確保について』、同センター雇用管理部長の吉田康夫様より『介護労働の現状と課題』についてご講演いただきました。
ご講演では、介護労働実態調査のデータに基づき介護労働全体と特定施設の介護労働に関する課題を整理していただいた上で、年功賃金体系を基本として全産業の女性の平均並の賃金上昇率を確保したモデル賃金体系の導入が必要であるとのご提言をいただくとともに、雇用管理責任者を選任し、努力が適正に評価される雇用管理のしくみを構築する必要があるとのお話をいただきました。参加いただいた皆様からは、「データに基づいた説明でわかりやすかった。」との声が上がっておりました。
第2部では、10グループに分かれ『人材確保・定着・育成』について情報交換を行いました。いずれのグループも活発な議論が展開されました。参加いただいた皆様からは、「他社の取り組みを知ることが出来良かった。今後の参考にしたい。」との感想を多くいただき、こちらも盛会でした。
最後に、第1部でご講演いただいた野寺様より、「事業者の皆様は現在の課題を十分認識されているので、さらに一歩前に踏み出して、現状を解決するために必要な評価制度や賃金体制を作ることが重要である。具体的なシステム、取組みについては、介護労働安定センターとしてもご相談に応じたい。」とのご講評をいただきました。
各グループでのディスカッション内容(発表内容)と、参加者からの声(アンケート)について、一部をご紹介いたします。
○発表用書式より内容抜粋
<前向きな取り組みの紹介>
【募集・採用関係】
- 人柄を重視した採用(技術は後からついてくる)。
- 募集広告の中に「主婦が多く働ける」曜日/時間採用(ex,日勤帯7パターン)したところ、20~30名の反応があった。
- 「職員紹介」によって採用した職員の定着率が高い。職員の知人紹介は人物も信用できて良い。
- 職員に、知人を1人紹介し、その新規採用職員が定着(3~6ヶ月)したら、報酬(ex,3万円)を支払っている。
【研修・教育関係】
- 新人研修に専任職員をつける。(育成担当者を決める。)
- 採用後半年はレポートを提出し、介護主任がチェックすることとしている。
- 入社3ヶ月、6ヶ月の同期どうしの研修、施設間での交流や研修
- 研修受講で1point、1年間で25point貯めたら5000円の図書券を贈呈。
- トップ本人が講師をする研修を実施
- コーチング研修の導入
【評価制度・給与インセンティブ関係】
- 個人の目標制度、年2回面談し進捗確認。(制度を運用する仕組みの構築が必要。)
- 利益があれば、スタッフに還元するシステム。(施設ごとで利益が上がれば給与もボーナスも上がる。)
【コミュニケーション関係】
- 管理職がいつも傾聴、声がけする試みで2年前に比べ離職率が改善。
- 主任ではなくトップが関わることにより本人のプライドを満足させる。
- 「ほめる、認める、感謝」を伝える。
- 専門的な委員会や役割を持ってもらい責任感、存在感を感じてもらう。
- 不平不満に迅速に対応するために、意見書に回答する形で姿勢を見せる。
- 退職意向のあるスタッフとの丁寧な面談。
- スタッフ投票による年間MVP表彰。
- 全社的なバレーボール大会の実施。
【その他】
- 自由な環境(設備、服装自由など)、玄関開放・施錠なし。
- 無駄な残業をさせない(Max4~5h/月)。
○アンケートより内容抜粋
第1部 講演会について
- 大変わかりやすくデータが具体的でためになった。
- 特定施設及び他施設等の現状を比べることができたので良かった。
- 介護業界(特に特定施設)が置かれている状況を客観的に把握することができ、今後のアプローチの指標にできる。
- 実態を数値化して学べたので良かったと思う。対策についてはもっと具体的にお話があればと思う。
- 数値による現状分析よりも、現場に根ざしている我々の実感の方がより現実的。
- どうすれば採用者が増加し人材が定着するか、そのノウハウを教えてもらいたい。
- 若者を中心とする介護離れがすすんでいる。どの施設でも同様。国の対応が必須と改めて感じた。
- 年功型給与の話があったが、個人のモチベーションを高めるためには職能給制が良いと考える。
第2部 情報交換会について
- とても良い場であった。他社での考えも参考となり今後の検討への参考としていきたい。
- 同職の情報交換会は正に今という感じで刺激をもらうことができた。
- 事業者によって、人材確保の方策が異なることがわかった。
- 各施設のホーム長達に現状の意見を聞くことができとてもよかった。
- 皆さん同じ悩みを抱えられつつも、各事業所で色々な工夫、取り組みをされていることが参考になった。
- とても良かった。他3名も同じ様な悩みをもっていた。
- 他事業者様の現状を知ることで自事業所との比較ができた。
- 時間が短かった。
- もう少し時間があれば良かったと思う。内容的には満足。
- 定着の悩みが共有されたが、そこで終了してしまった。
- もう少し時間があれば方向性が出るのかもしれない。単なる悩みのなぐさめ会にならないよう方策が必要。
今後も、皆様からお寄せいただいたご意見をもとに、会員活動を活性化させて参りますので、お力添えをお願いいたします。
また、企画立案、運営にご興味のある方は、お気軽に事務局までご連絡ください。お待ちしております。