去る10月27日の雲一つ無い秋晴れの中、中国ブロック会員活動として、岡山市の第一セントラルビル1号館3F中ホールにて、『長寿医療制度に関する講演とテーマ別情報交換会』を開催いたしました。合計31名(うち特定協未加入の方16名、岡山県県民局から3名)の方が参加されました。
岡山県 小幡課長のご講演
第1部では、岡山県保健福祉部長寿社会対策課小幡課長より、『長寿医療制度について』ご講演して頂きました。高齢者の立場に立って、①前の老人保健制度とどこが違うの? ②なぜ、新しい制度をつくる必要があったの?③高齢者にとって何が変わったの? という視点で、丁寧なご説明をいただきました。参加者アンケートより、「入居者や家族の方に質問されても、きちんと説明できなかった部分について理解が深まった」「それほど批判されるべき制度ではないことがよく分かった」等の声が上がっており、有意義な講演でした。
第2部では、「人材確保・定着に向けた対策」について意見交換する2グループ、「医療との連携・医療対応」について意見交換する2グループ、「苦情対応」について意見交換する1グループ、「施設見学」を行う1グループに分かれて、『テーマ別情報交換会』を行いました。各グループにおいて、同様の悩みを抱えている各事業者の様々な取組みについて活発に情報交換していただいたのち、各グループから参考となる取り組み・工夫について発表していただきました。
各グループでのディスカッション内容(発表内容)と、参加者からの声(アンケート) について、一部をご紹介いたします。
○ 各グループでのディスカッション内容(発表内容)
【人材確保・定着に向けた対策】
- あらかじめ施設を知ってもらうため、実習生を積極的に受け入れる。
- 採用初日から研修を経て現場に出るまでのOJTマニュアルを策定、それに基づき新人研修を丁寧に行う。
- 毎月、リーダー、サブリーダーを中心に採用者のフォローアップを行う。
- 従業員に対する『会社理念・方向性』を動機付ける。
- 研修について、職員のスキルアップのため、新人、中堅、管理者のレベルに応じて、また、苦手分野を克服できるカリキュラムを準備する。
- 職種間を超えて、職員同士が気軽に話せて、相談が出来る上司が存在している職場の雰囲気作りが重要。
- 「看護・介護のバリアフリー」が必要。
- チェックリストに基づき4等級に分けて、評価を適正に行う。
【医療との連携・医療対応】
- 中間規模の医療機関との連携を図る。
- 病院の「地域医療連携室」との連携がうまくいっている。
- 契約時、親族が近くにいない等の場合、後見人制度の利用を考慮に入れる。
- 治療ではなく、疼痛緩和を求める利用者が多く、そのような対応している医療機関もあるので、周知しておく。
- 看護職員の退職が多い。看護職員には、医師がいない不安・負担が大きいが、病院ではない施設看護職員の楽しみをきちんと説明することとしている。
- 看取りの対応は、加算の有無にかかわらず、各施設それぞれに取り組んでいる。
【苦情対応】
- スピード対応を心がける。「聞いている」という意思表示を重視している。
- 反論ではなく、傾聴する。
- 情報カード(入居者からの希望や苦情を職員が聞いて記入する、会社トップまで回覧)の活用。⇒ 入居者の生の声を情報収集し、内容に対して迅速な対応を心掛ける。
- ある特定のスタッフに関する苦情に対し、そのスタッフ個人の課題ではなく、利用者の想い・訴えの原因を探る、フロアでのミーティングを開催するなど、会社全体の課題として取り組んだ。また、他部署の苦労や状況も知って、スタッフ間どうしの理解を得た上で、対応をした。
- できることとできないことを明瞭化し、本音で話し合うことにより、業務的でない誠実な対応を心掛ける。
【施設見学】
「まどか西川緑道公園」にて
施設見学
(株式会社ベネッセスタイルケアの「まどか西川緑道公園」を見 学させていただきました。)
- 小学校の記念品が館内の壁絵になっており、地域との良好な関係が取れていることが良く表れていると思う。
- 施設周辺に公園やコンビニ、居酒屋等が立地し、自由に外出しやすい環境を選ばれていて非常に感動した。
- 町なかにあるが、緑が多く、暖かく明るく感じられた。
- 部屋の入口が対面にならないよう、プライバシーに配慮されていた。
- 浴室の設備等工夫されていると感じた。
○ 参加者からの声(アンケート)
- 皆様の工夫されているところや、自社の取り組みと同じ理念で行われているところがあり、考える良い機会となりました。
- それぞれの現場での思いは同じなのかなと思います。今まで生きてこられた高齢者の方を支えていくという仕事は大変ですが、やりがいがあると感じています。
- ディスカッションの時間が足りないです。もう少し時間欲しかったです。情報交換のよい機会になりました。
- 施設の現場担当者の苦労や向上心、問題意識を持っていることがよく分かり参考になった。
- 他施設の見学を通して、自施設のメリットデメリットや役割分担等について、思いをめぐらせることができました。
- どこの施設でも困っていることが同じという事が分かったが、きちんとした答えが出来ないので、特定協施設の運営についてきちんと説明して下さる方がいればと思います。
今後も、皆様からお寄せいただいたご意見をもとに、会員活動を活性化させて参りますので、引続きお力添えをお願いいたます。また企画立案、運営にご興味のある方は、お気軽に事務局までご連絡ください。お待ちしております。
今回の「講演会・情報交換会」の開催にあたり、多大なるご尽力をいただきました岡山県庁様には、この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。