平成23年11月10日(木)に特定施設専門研修(仙台会場)を仙台市のショーケービル本館にて開催しました。19法人(会員13法人、一般6法人)42名(会員33名、一般9名)の方にご参加いただきました。午前中は昨年に引き続き、東京都健康長寿医療センターの伊東美緒様から「認知症ケア」、午後からは、同センターの島田千穂様から「終末期ケア」についての講義をしていただいた後、情報交換会を行いました。
「認知症ケア」の講義では、認知症の方々は直感力が強く、職員の態度に態度で応えるため、職員の対応がいかに重要であるかを改めて考えさせられました。また、認知症の方々からのメッセージを『服従・謝罪・転嫁・遮断・憤懣』の5つに分類し、それぞれの特徴と対応方法について講義いただき、とても分りやすい講義でした。アンケート結果をみてみても、95%の方々に「とても満足」「満足」とご回答いただき、大変満足いただけた研修となりました。
「終末期ケア」の講義では、まず終末期ケアの現状と定義について講義いただき、その後、実際に終末期ケアを実施するにあたり必要なことを講義いただきました。参加者のうち、約4割が実際に看取りを実施している施設、残りは実施を検討中という施設からの参加でした。研修中の反応、アンケートの『内容は理解できたが、自分が当事者になると不安』『これを機に更に考えを深めたい』といった回答をみてみても、実際に看取りを経験されているか否かで、終末期に対する意識が全然違うと感じられました。
(認知症ケア)
(終末期ケア)
講義終了後、「認知症ケア」「終末期ケア」をテーマに、8グループに分かれて情報交換会を実施しました。各グループより話合った内容を簡単に発表いただき、最後に島田先生に講評いただきました。
(情報交換会)
- 各グループで話合われた内容は以下のとおりとなります。
- 1グループ
- ・今後の災害対策についての意見交換。訓練を実施したが、階段で担架がうまく使えなかった。
- ・看取り:どこまで施設で対応できるかどうかの議論。
- ・たんの吸引についての議論。
- 2グループ
- ・認知症への対応についての議論。
研修はためになったが、実際の現場では入居者の方から話を聞く時間をとることも難しい現状がある。施設の上層部にも、この現実を知って欲しい。 - ・看取りを開始したが、看取り対応の難しさを実感している。
- ・入居者のケアも大切であるが、職員の心のケアも大切であると実感。
- 3グループ
- ・看取りについて、今後どのように対応をしていくのかが心配。
- ・帰宅願望のある方への具体的な対応事例を出し合った。
- ・業務分担はざっくりと行い、時間の余裕をもって入居者に接することが必要だと思った。
- 4グループ
- ・新・旧の入居者との関わり方の違いを話合い。新規入居者に時間をとられがちになる。
- ・看取り、緊急時の各施設の対応について。
- 5グループ
- ・各施設の特色、勤務形態、業務内容について。
- ・ターミナルケア、それぞれの施設のアプローチ方法について。
- ・自分でもわからなくなってきていることが、理解している認知症の方への対応について。
- ・それぞれの施設の意見を聞けて、とても勉強になった。
- 6グループ
- ・ターミナルケアをどのように実践しているか。
- ・食事摂取が難しくなった方への対応について。
- ・職員のメンタルケアの方法について。
- ・金銭、買物などの管理について。
- 7グループ
- ・実際の経験談を語りあった。
- ・子供がいない方への対応について。
- ・懇談会の中で、最期をどのように迎えたいのかをアンケートを必ずとっている。
- ・夜間帯の勤務体制について。
- 8グループ
- ・看取りの同意書の内容について
施設を守るものだけになってしまっていないか考えさせられた。
最後になりますが、今回、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。