平成23年6月23日(木)に特定施設専門研修(札幌会場)」を札幌市の北農健保会館にて行いました。
東京都健康長寿医療センターの伊東美緒様から「認知症ケア」、同センターの島田千穂様から「終末期ケア」についての講義をしていただきました。
島田千穂様
伊東美緒様
「認知症ケア」の講義では、介護職員がやってしまいがちな行動や声かけが認知症高齢者の物盗られ妄想や不安をあおっていることがあることを思い知らされました。
「終末期ケア」の講義では、いつからが終末期か、意思の確認の仕方など実際に現場で終末期ケアを行う際の進め方を教わりました。
また、「認知症ケア」「終末期ケア」のテーマに分かれて情報交換会を行いました。
話し合われた内容について、一部紹介させていただきます。
情報交換会
- ◆認知症ケア
- ・認知症の方と自立の方が混在していると、認知症の方のケアに職員が集中してしまい不公平と感じる自立の方がおられる。また認知症のひどい方が、他の人に迷惑をかけてしまい苦情を言う方や認知症の方に攻撃的になることがある。こうなると、認知症の人を別フロアに移動するという対応になりがちである。しかし、その前に、認知症の方がそのような行動をするのは、介護職員の力量不足のため起こっていると苦情を言う方に説明してみては。苦情を言う方は、職員を責める気持ちはないので攻撃的な態度も少なくなるのでは。
- ・物盗られ妄想がある利用者には、利用者と職員でいっしょに物をさがしてもらい、利用者が見つけるように仕向ける。もし、職員がみつけてしまうと、「やっぱり職員が隠していた!」と思われることも。
- ◆終末期ケア
- ・高齢者の全員が看取りを望んでいるわけではない。どのような意思確認をすればいいのか。
- ・看取りの希望は、いつでも変更ができるという説明が必要。
- ・医師とどのような連携ができるのか。
→24時間いつでも駆けつけてもらうのは理想だが医師への負担が大きい。夜間に職員だけで看取り、翌朝に医師の死亡診断を受けることも可能なので、看取りのやり方は医師と相談してみる。 - ・人の死に直面することになる職員の心のケアをどのように行うのか?
→看取りの前には研修によって看取りの過程で起こる事象について理解を深め、看取りの後の職員は「本当にこれでよかったのか?」と葛藤があるものなので「よく、やった」と励ますことも必要。 - ・施設の掲示板に逝去されたことを掲示している。そのことによって最後まで入居できることが伝わり、利用者や家族に安心感をもっていただけている。
- ・24時間ナースがいないので、看取りは難しいと考えていたが、オンコールや医師の協力によって24時間ナースがいない施設でも看取りを実施しているという話が聞けた。