5月30日に開催されました第75回社会保障審議会介護給付費分科会において、介護保険施設等について議論され、事業者団体からのヒアリングとして当協議会より事務局長の長田が参加しました。
特定施設の性格について、入居率等のデータを基に「早めの住み替え」から「介護が必要になってからの住み替え」まで、多様なニーズに対応する、高齢者の住まいでに対する包括的なサービスであることを整理した上で、大小6点の要望を申し上げました。
(1) 介護職員処遇改善交付金に見合う介護報酬の増額
(2) 地域区分単価の見直し(特に人件費比率の設定方法の見直し)
(3) 医療依存度の高まりや看取りへの対応に対する評価
・夜勤の看護職員の配置に対する夜間看護体制加算の増額
・併設を含む外部事業所からの訪問看護等を使えるようにすること
・「看取り介護加算」の創設
・特定施設入居時等医学総合管理料などによる診療報酬上の評価の維持・向上
(4) 入院先から特定施設への一時帰宅時の特定施設報酬の算定
(5) 特定施設の短期利用の容認について
(6) 災害等による定員超過の容認について
第75回介護給付費分科会の様子
第75回介護給付費分科会の様子
これらの要望に当たっては、特定協で実施しました「平成22年特定施設経営概況・処遇状況等調査」や、サービス産業活動環境整備調査事業(経済産業省委託調査)として(株)野村総合研究所が実施した「地域社会及び経済における特定施設の役割及び貢献に関する調査研究」の結果を用いて要望しております。調査にご協力いただいた事業所の皆様には、改めて感謝申し上げます。
意見陳述後の質疑においては、夜勤の看護職員配置の評価や特定施設の短期利用に関して「施設的ではないか」との指摘がありましたが、「夜勤の看護職員配置は介護報酬で見るだけでなく、外付けにする提案も行っていること」、「短期利用は実際に介護保険外で行っている事業者があり、実施は事業者の選択に委ねられること」を説明しております。
また、個室化を推進する上で価格を低減するための提案を求められ、「①初期コストに対し、補助、融資、税制の優遇措置、特に融資をお願いする。②低所得者に対しては家賃補助が必要ではないか。③現在競争による低価格化が進んでいるので、より一層競争が働くよう市場環境を整備していただきたい。」と述べております。
平成24年度介護報酬改定にあたっては、今後、介護給付費分科会において議論が続けられます。秋には介護事業経営実態調査結果などを基に議論され、来年1月に答申がなされる予定となっております。
特定協といたしましては、今後も、特定施設事業者の皆様を代表して関係当局と調整してまいります。