研修会場には、64法人(会員60法人、一般4法人)、117名(会員113名、一般4名)の方が集まりました。
綿 祐二先生
第一部では、日本福祉大学福祉経営学部教授の綿祐二先生を講師に「認知症ケア~本人を中心にケアを考える~」をテーマに研修を行いました。社会福祉法人の理事長でありながら、今もシフトに入ってケアを担当しているという綿先生は「利用者本位と言ってしまえば簡単。しかし現場にはこれでは言い尽くせない事柄がいっぱいある。今日はみなさんと意見の分かれる問題を徹底的に本音で議論したい。」と講義を開始しました。5歳からおむつ替えをし、20歳で施設を立ち上げたという経歴を通じて、綿先生が「その人の心地よさを考える」介護観を持つに至った原点を紹介されました。認知症ケアに関わっては、中核症状に合わない環境や不適切な対応によって、問題行動が起こるという仕組みを説明されました。また新しいケアの方法としての「生体リズム法」の紹介や、最新情報を入手できる学会紹介などもされました。受講生からは「講師の方の体験も含めて、現場での対応や新しい情報も伺えてよかったです。出来る事から実践していきたいと思っています。」「講師の先生が現場で今も現役にケアを行っているという事もあり、事例も具体的でとてもよかった。私もホームへ戻って学んだ事を実践していきたいし、他のスタッフへも学んだ事を伝えていきたいと思った。」と声が聞かれました。
吉村 仁志先生
第二部では、特定協の事務局員でもある吉村仁志先生を講師に「特定施設における看取り介護について」をテーマに研修を行いました。吉村先生は「看取りケアを担うことは特定施設の重要な役割だと考えている」と示されました。そのうえで「よい施設づくり、よりよい看取りの実現のためには、よい人間関係が前提で、よい人間関係を築くためには、自己開示と自己覚知が必要」だと簡単なワークを通して講義されました。看取りの場で、いかに人間関係が重要になるかという事例もいくつか紹介されつつ、施設での看取りは、死を見届ける“見取り”であり、見ていればよい、見守っていることしかできない、寄り添って差し上げることであると説明されました。
研修会の様子
受講生からは「看取りではなく見取りという言葉に感銘を受けた。私は、家族の代理人の気持ちを持っていきたい。」「ターミナルケアの不安が取り除かれた。今までと違ったターミナルケアが出来る自信がついた。」との感想が寄せられました。
一部、二部の講義とも、受講生の98%以上の人が「とても満足」「満足」と評価しました。