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2011年11月16日

「平成23年度高齢者の住まいの契約に関する研究会」の下に入居一時金検証実施委員会を設け、入居一時金・初期償却の算定根拠を検証することとしました。

 9月2日に第1回を開催しました「平成23年度高齢者の住まいの契約に関する研究会」について、10月19日に第2回、11月16日に第3回を開催しました。

 第2回(10月19日)は、まず、社団法人シルバーサービス振興会から、平成22年度調査研究「高齢者向け住宅等の入居者に対する各種シルバーサービス(介護・生活支援サービス)の提供と契約締結の実態等に関する調査研究」のご報告をいただきました。その後、契約が複数に分かれていることの不都合がないかなどの議論を行いました。

 次に、太矢委員(東洋大学法学部准教授)より、今回の各論点について法律的観点からの問題提起をしていただきました。サービスと住まいに関する契約の関連性と法的性質についての裁判例や、民法改正・消費者保護法の観点からの消費者に対する情報提供のあり方や契約上の不当条項リストに関して詳細なご説明をいただきました。その後、事業者と高齢者との契約に対する考え方や情報の質・量や交渉力の差をどのように埋めるか、消費者の苦情をどのように受け止めるべきか(消費者団体や事業者団体の役割)等の議論が行われました。消費者にとっての身近な相談窓口であるケアマネや地域包括支援センターに対する高齢者住宅に関する情報提供や研修、高齢者住宅の契約に関する資格の創設などの提案がなされました。

第2回研究会の様子

発言する市原代表理事

 第3回(11月16日)は、まず、消費者の立場に立った高齢者の住まいに関する情報提供のあり方について議論しました。中村委員(株式会社ニューライフフロンティア取締役 介護情報館/有料老人ホーム・シニア住宅情報館館長)から「簡素で比較しやすいリストを作成しても、一般の高齢者ではご理解いただけない。自分が入るためのチェックリストはできるが、1人1人のニーズが違うので、一般消費者には別の方法がいい。リストはアドバイザーには必要だが、一般消費者には難しいのではないか。」とのご発言があり、委員一同、賛同いたしました。今後必要なものは、消費者向けの比較表よりも、1.ニーズを明らかにするための一般消費者向け情報提供、2.専門相談員向けの各施設の情報、3.アドバイザー、紹介者、仲介者の質・量を向上させること、と整理しております。

 次に、入居一時金およびその初期償却の法的位置付けや消費者保護のあり方について、老人福祉法改正および東京都有料老人ホーム設置運営指導指針の改定の経緯を振り返り、全国特定協および全国有料老人ホーム協会の取組みを紹介した後、議論を行いました。改めて「入居者の移動の自由が制限される」、「ほとんどの事業者で根拠が不明確」などの入居一時金・初期償却についての課題が指摘されましたが、一方でこの仕組みはいつまで家賃を払い続ければよいのか分からない入居者にとって有力な選択肢となっています。こうしたことから、退去者の動態や償却の基準を保険数理の観点から検証する「入居一時金検証実施委員会」を本研究会の下に設けて、本研究会に報告する方針が決定しました。

 本研究会は12月までの予定としておりましたが、入居一時金検証実施委員会の検証結果を評価するため、平成24年1月以降も継続することとしております。